サーマクール

Therma Cool(サーマクール、RF)とは

レーザーやフォトフェイシャルについで出現した第三世代の治療法です。
この装置から出るRFを照射することにより皮膚を引き締めリフトアップ効果をもたらします。切らずにフェイスリフト(スキンタイトニング)を行う新しい治療法です。

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原理

この装置は高周波(radio frequency,RF)を使用します。レーザーと異なりRFは皮膚の奥深くまで 到達する特徴があります。このエネルギーによって皮下のコラーゲンに熱を与え瞬時に収斂させるという原理です。

簡単に、また乱暴に言うと皮膚表面を守りながら少し深いところでコラーゲン繊維の一部に火傷を起こさせるようなものです。 コラーゲン繊維や皮下組織は熱が加わるとタンパク変成を起こし、縮みます。お肉を焼くと縮むのと同じ原理です。 全ての組織が変成してしまうと修復出来なくなってしまいますが、一部の組織にこの現象が起こると全体としてダメージはなく、 しかも収縮のみが起こる訳です。医療関係の方ならおわかりでしょうが電気メスと同じ原理です。下眼瞼の脂肪などにバイポーラーをあてると瞬時にシュリンクしますよねえ。 あれです。

顔で言うと、上外側に収縮のベクトルを持つように頬に照射すると、その方向に引っ張られタルミが取れる訳です。今までレーザーで成し遂げられなかったのはレーザーが光であり、これほど深部にエネルギーを送り込めなかったからです。レーザーではないですが、フォトフェイシャルの場合、負荷可能な最大エネルギーは35ジュール程度ですが、サーマクールの場合は最低でも100ジュール、 最大で150ジュール程度にもなります。

アメリカでは

このような新しい治療は効果はもとより安全性にも十分配慮しなければなりません。2003年4月のアメリカレーザー医学会では全米から有名大学の著名な教授らがこの装置の効果、安全性についての発表を行っています。 また、この装置はアメリカのFDAでも認可されており、安全性はオフィシャルには確保されていると言って良いと考えています。

私自身が実際に使用してみて、装置の安全性には確信が持てました。ただし高周波を使用しますのでペースメーカーを使用している方などは使用出来ません。

医学界以外でも全米の夕方のABCニュースで取り上げられ、大変な話題となりました。私も見ましたが、30分のニュースの中での ライブ施術です。ニュースの終わりに顔の半分のみ終わった患者さんが出てきます。びっくりするほどの左右差です。施行側はタルミが きれいに取れ、まるで別人です。(東洋人ではこれほどは効きません)

ABCニュースで「やらせ」をするとも考えられませんし、筋肉の動きなどを見た感じボツリヌストキシンの併用も考えられません。 ただ一点、施行直前の顔が出ていないのが気にかかります。

このようなライブを見たアメリカ人は当然深い興味を持ったことでしょう。

東洋人に効くか

アメリカで流行ったものはたいてい海を渡って日本に来ますが、こと治療に関しては欧米人と東洋人では肌質や顔立ちが違いますので そのまま同じ効果が期待出来るとは限りません。

現時点では日本にはまだ30台くらいしか稼働しておらず、東洋人種でのデータは不足していると言わざるを得ません。 過去にクールタッチというレーザーがあり、シワ取り効果が鳴り物入りで宣伝されました。私は日本で数少ない施設でしか 行っていない治療というのは結局はデータが少なく患者さんに安心して受けていただく自信がなかったので当院では採用しませんでした(高かったし)。

サーマクールを導入しようと決心したのはアメリカの学会や論文でしっかりした基礎研究のデータが出ており、組織学的に見ても 私自身が納得できるだけのエビデンス(証拠)がそろっているからです。

東洋人は皮膚が硬く、皮下組織の筋膜への癒着も強いと言われています。 従って白人と同じようには効果は出ないと思います。しかし、切らずに安全に少しでもリフト(またはタイトニング)の効果が出ればすばらしいと思っています。
結局は治療費用と効果のバランスだと思います。

どのクリニックのホームページを見ても外国人の術前術後の写真しか載っておらず、効果がよくわかりません。それらの写真はサーマクールを導入する際、レクチャーに使用されるメーカーから提供された写真です。そんなに効くんなら自分のクリニックで行なった患者さんの写真載せても良いような気がしますね。

私のクリニックで施術した患者さん(まだ数十人ですが)を見てみると写真では詳細がわからない場合が多いように思います。 というのは笑ったときや表情を作ったときなどに効果が見えたり、動的な改善をしている場合が多く、写真では表現しにくい場合が多い ように思います。

シワやタルミというのは写真では表現が難しく、逆に言うと嬉しいことを考えるだけで若々しい顔になりますし、光線の当て加減によっても 変わってきます。良い結果が出たような写真ばかりを載せてもあまり意味がありません。 当院での結果が出て、写真を載せても良いと患者さんご本人のご承諾を得ましたら掲載する事にしましょう。

この治療に特徴的なのは、何より患者さん自身の満足度が大きいことです。
私自身、それほど効いてないんじゃないかなあと思っても、すごく良かったとか友達に言われたというような反応が多いのが特徴的です。

当院での印象

6割程度の方は治療直後から効果を実感します。ただ、その中の半分くらいは治療で気分が高揚していると見て3割の方が実際に効果を実感しているのだろうと 思います。1ヶ月検診の際、非常に効果があった方が2割、効果があったと言われる方が3割、何となくよさそうと言う方が3割、効果を実感出来ないという方が2割です。

言い換えれば5割の方は費用分は無かったと感じているのかも知れません。効果があったとお答えになった患者さんは鼻唇溝(ホウレイ線)が薄くなった、顔がほっそりした、目の下のシワが改善された、目が大きくなった、などのご意見です。 中には以前受けたフェイスリフトより効果的だったという患者さんもいます(言い過ぎでしょう)。

サーマクール治療の流れ

治療の流れを見ていきましょう。
せっかく九州で一番はじめに導入したのですから、九州で(いや全国でも)最も効果が高く、安全な治療法を開発していきたいと思っています。 いま、各施設でのサーマクールの前処置や後処置についてはまだ、試行錯誤中だと思います。

サーマクールは高エネルギーの高周波を照射して深部のコラーゲン等を変成させるくらいの装置ですので、 そのまま照射すると相当に痛いです。安全に、快適に治療をお受けいただけるよう、照射部位には塗布麻酔を含め、 前処置を施します。まず、治療衣に着替え鎮痛剤を内服します。効果が現れるまで1時間以上かかりますので、少し早めに飲んでおきます。記録のため写真撮影を行います。

十分洗顔して頂いた後、スタッフがもう一度クレンジングします。お化粧が残っていると麻酔の効きも悪く、 また、火傷などを起こす原因にもなりかねません。

麻酔クリームを塗布します。ODTと言ってサランラップなどで密封して麻酔薬を十分浸透させます。 この状態で薬40分待ちます。
さて40分経過するといよいよ本治療の開始です。脇腹に対極板を貼り、麻酔薬をふき取り、照射範囲をマーキングします。この後、正確な照射を行うためのガイドラインを顔に書きます。

サーマクールのハンドピースを額にあて、貴方の肌に固有の抵抗値を測定し、インプットします。
サーマクールのハンドピースは3平方センチの大きさで照射出来るようになっています。照射ボタンを押すと最初の1秒は冷却ガスに よって皮膚をマイナス20度まで下げ、皮膚のダメージを防ぎます。次の1秒で高周波が照射されます。

痛みがあるとすればこの2秒間です。私も経験しましたが1秒痛いというよりじわっと最後に痛みが来ます。皮膚の奥の方が 熱いという感じです。 もちろん痛みも個人差があり、一概には言えませんが、熱した針を刺すような痛みです。 人によっては相当に痛がる方もいらっしゃいます。

しかし、もちろん痛い時はゆっくり照射したり、皮膚をつまんで骨から遠ざけて行います。 次の1秒はさらに冷却です。このように冷却を確実に行うことによって皮膚表面の火傷を防ぐ安全性の非常に高い装置と言えます。1ショットに少なくとも3秒かかり、さらに仕上げとして出力を変えて2パス目3パス目を照射します。 以上終わるのに両ほほでも少なくとも30分以上はかかります。

これで施術は終了ですが、この後はクールパックで肌を鎮静化します。その後イオン導入でビタミンCなどを肌に吸収させ仕上げします。術後処置に十分な時間をかけることによって、術後の状態を十分観察でき、万一トラブルが生じても直ちに対処する事が可能です。 洗顔し、終了となります。

この治療の後は特別に気を付けることはありませんが、軽い火傷の状態を想定してケアしてください。当日は熱い風呂には入らない。当日の飲酒喫煙はほどほどにする。しばらくは日焼けに十分注意する。など一般常識的な 注意を守ってください。

この治療は1回で効果は十分とされていますが、東洋人の場合白人と違って効果がやや少ないだろうと言うことは 書きましたが、その分2回目を行うということで補ってゆきます。もし、1回で十分な効果が得られない場合は 4ないし6ヶ月後に2度目の照射を行います。この場合の費用は初回の半額程度になります。

何回すればよいか。効果の持続期間は?

1回で効果が出て、2回目はしなくても良いという報告があります。 しかし、これは白人系の肌に言えることで、東洋人の場合、より効果を上げるためには複数回の治療も良いのではないかと思っています。

現在当クリニックでも当初のプロトコールを採用し、2回目照射は4から6ヶ月後としています。 半年に一度ほど施術するのが効果的なようです。

効果の持続についてもよくわかっていませんが、創傷治癒の考え方から言って次期が来るとすっかり元通りになってしまうのではなく、 ある時期から徐々に個人個人の持つ正常の加齢状態に戻ってゆくということだと思います。(年を取るスピードは変わりませんので、そのスピードが効果を追い越せば徐々に元の戻ってくるということ)

ダウンタイムは無いか?

皮下組織にかかわる治療ですので基本的には無いと言っても良いでしょう。しかし、手術に比較しての話ですので、人によってはかなり腫れる人もいます。今まで経験した症状を列挙してみましょう。

  1. 腫れ
    下顎の骨に一致した部分を中心に多少の腫れが来る方がいます。数日ないし、1週間程度で引いてきますが、その間は冷却します。
  2. 局所的な硬結
    反応の強かった部位に一致して数カ所程度、皮膚の下に少し硬い部分が出来ることがあります。その部分は押すと少し痛みがある程度で外見上は問題有りません。これも1週間程度で解消します。
  3. 皮膚の火傷
    実験的に行った皮膚で発生しました。極端に出力を上げたり、チップの接触が不良だったりすると起こりえます。
    小範囲の浅い2度の熱傷ですので、1週間程度で治癒しますが、後の色素沈着には注意が必要です。
  4. かぶれ、皮膚炎
    ただ1例発症しました。正確な原因は不明ですが、表面麻酔薬または前処置の時の何らかの物質に対する反応だと推測しています。
  5. 凍傷
    当クリニックでの経験はありませんが、チップの先端はマイナス20度になっていますので、パス回数が増すと発生の可能性はあります。いずれにしても一時的なものですが、まったくダウンタイムが無い訳ではないと認識したほうが良さそうです。

副作用

上に書いた術後の一時的症状のほか、将来的、長期にわたる副作用は皆無です。サーマクールは単に電気のエネルギーを皮膚の抵抗の多いところで熱に変化させ、組織の一部を変成させる装置です。

変成は一部にとどまりますので将来的に何らかの変化が起こるとすれば、修復される方向であり、悪い方向には変化はしません。 また、放射線などとも異なり、遺伝子などにも影響は及ぼしませんので、この点も心配はありません。

ただし、ペースメーカーや除細動器を埋め込んでいる方は治療が出来ません。治療部分に金属プレートなどを使用している方、糖尿病などで創傷治癒に問題のある方などは 治療に注意を要します。また、妊娠中の方も胎児の安全にために治療は出来ません。

サーマクール治療はなぜ高い?

アメリカでの治療費用は1500ドル前後と言われていますので、日本での一般的な費用が特に高額に設定されていると言う 訳でもありません。

アメリカでと日本の機械の価格の差を考えると、むしろ安く設定されていると言っても良いかも知れません。 1〜2年の内には費用も多少は下がってくる可能性はありますが、現時点ではこの程度の費用が下限だと思います。サーマクールの機械自体はべらぼうに高い訳ではありませんが、それ以上に消耗品の値段が高価なことと施術に時間がかかり 人件費がかさむことが大きな原因です。

消耗品はハンドピースの先端チップと冷却ガスです。冷却ガスは代替フロンですので、たいした値段ではありませんが、 先端チップは患者さん1人1人の使い捨てで仕入れ値が1個数万円もします。

人件費というのは主に医師の割かれる時間のことです。この治療は簡単な治療ではありませんので必ず医師自身が施行する必要があります。 一人の施術に1時間もかかるとすると、その間当然、他の治療はストップです。1時間あれば二重の手術なら3〜4人は可能でしょうから クリニックとしては20万円から30万円程度でないと引き合わないということになります。事実、手術などで忙し過ぎて(その間、他の手術をした方が売り上げが上がるので)導入は困難であるというクリニックを知っています。

もう一つの基準はフェイスリフトの手術費用です。切らない、ダウンタイムが少ないというメリットと手術によるフェイスリフトの効果との比較をして算出したのが 手術の約半分くらいの費用です。

効果がなければ費用は下がってゆくでしょうし、効果があっても施設が増えれば費用は下がってくるでしょう。当クリニックではこのような高額で効果が一定でない治療は気軽にお勧めは致しておりません。 ただ、切らずにすむという治療が今後のトレンドになってくるのは流れであると思っていますので、その治療を先取りして みたい方はまずカウンセリングをお受けください。メリット、デメリットについて十分お話致します。

メーカーが高額の使い捨てチップを採用した訳。

どうしてこんなに高価な使い捨てのチップを使用するのでしょうか。 機械そのものは数年前の脱毛装置(ランボルギーニカウンタックほどしました)ほど高額ではない(ポルシェほどです)ので、装置を売って利益を上げるのではなく消耗品で末永く利益を上げるという方式です。

携帯電話とおなじですね。本体は安く、通話料で利益を出すという方式です。この方式だと本体は多少安く売ってもクリニックが この機械を使用すればするほどメーカーも利益が上がります。またハードにはパワーに余裕があり、将来はソフト的にアップグレード可能のようです。このことから考えても機械自体の価格で利益を上げる方式ではないようです。

逆に言えばこのような方式を採用したと言うことはメーカーとしてもこの機械に相当な自信を持っていて、長くこの機械が使用される十分ブラッシュアップされた機械と見ていると 言っても良いかも知れません。

結論

サーマクールと言えども魔法の器械ではありません。効く人もいれば、そうでない人もいるというのが真実です。ヒットの率は3割くらいと思っています。バッターに例えると一流ですが、2割くらいは三振かも知れません。

ただ、切らない、副作用がない、ダウンタイムも少ないというメリットと比べて、貴方がどう評価するかだと思います。高額な治療です。よくお考えになってから治療をお受けください。わからない点、疑問の点があれば何でもお答えします。 その上でお決めになっても決して遅くはありません。


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