「サルコペニア」という言葉を耳にしたことはありますか?
年を重ねてくると、さまざまな身体能力や認知機能が低下していきます。
それが原因で、要介護状態になる可能性も高くなってしまいます。
脆弱性が増加した状態を「フレイル」といい、その主な原因として 「サルコペニア」が注目されるようになりました。
今回は、この「サルコペニア」についてお話いたします。
お話:右田 巳賀先生
「平均寿命」と「健康寿命」の違いって??
明治時代に低かったのには、結核患者数が多かったこと、 乳幼児の死亡率が高かったことが、原因として挙げられます。
3年前の2015年の平均寿命は
男性 80.75歳 女性 86.99歳
となっています。
平均寿命は、この短期間で飛躍的に伸びました。
一方、「健康寿命」というのは、 その方が誰のお手伝いも必要とせず、元気に過ごせる年齢のことです。
「平均寿命」-「健康寿命」= 「支援や介護を必要とする期間」
健康寿命は、平均寿命より、男性は約9年、女性は約12年も 短いことが分かりました。
支援や介護が必要な状態になると、ご本人も大変ですし、 ご家族も大変になります。
長い人生、いつまでも元気に過ごすためには「健康寿命」を 延ばすことが大切です。
私がこの仕事を始めて30数年たつのですが、 社会に出た頃は、加齢によって身体や認知能力が弱くなるということが、 病気であるという認識はありませんでした。
実際に、骨粗しょう症の例とってみても、 「あれはもう治療ができんもんね。」という感じでした。 それが、うるさく言われるようになったのは、ここ10数年くらいでしょうか。
治療できるお薬も、段々増えてきました。 そういうことから、早く見つけて治療しましょう、 という機運が高まってきています。
これまで「老化現象」として見過ごされてきたものについても、 要介護状態にならないよう、予防していこうという取り組みが 盛んになってきています。
サルコペニアとは?
サルコペニアの定義(米国の老年医学者が1989年に提唱)
高齢者において加齢に伴って生じる筋肉量の低下
筋肉というのは、たんぱく質の貯蔵庫だったり、供給源だったり、 エネルギーが使われるところの大本となる組織です。
この筋肉量が減ってくると、身体にいろんな影響があるということが 最近判ってきています。
ご高齢の方に多い疾患や症候は、サルコペニアと密接に関連しています。
サルコペニアになると、どうなるの??
今後、みなさん、誰しも、同じように年をとっていくわけですが、 出来れば要介護状態にならないように、 年齢を重ねていっていただきたいなぁというのが、 わたしが日々思うことの一つです。
次回は、「サルコペニア」の見つけ方と、予防方法についてお送りします。