お話:右田 巳賀先生
体重変化に注意!
年齢が高い方で、お家で「食欲がないなぁ」と思って食べずにいて、しかも「あまり暑くもないなぁ」と思って、クーラーも入れないうちに、倒れて亡くなってしまったというケースがよくニュースになりますよね。
加齢とともに、だんだん感覚がゆるくなって、変化を感じにくくなるためです。
脱水になっていたり、反対に、浮腫んだりしていることを一番 知ることができる目安となるのは『体重』です。
当クリニックに診察に来ていただいた時は、ほとんど全員の方の体重を量らせてもらいます。
何年も診察に来ていただいていると、「段々、痩せてこられている」とか、「あぁ、やはり肥えてこられている。」と、気付くことがよくあります。
年齢の特に高い方になると、痩せてこられると「フレイル」「サルコペニア」の状態になっているかもしれません。こういったことに早目に気付くためにも、体重の変化を知ることは非常に大事です。ですから、ご自宅には必ず体重計を置いて計測をしてください。
お風呂に入るときや着替えるときなど、「必ず裸ではかる」ことが大事です。
脱水ということだけに視点をおくと、一週間でだいたい体重の4%くらい(50kgの人なら2kg、60kgの人なら2.5kg)変わったときというのは、水分の出入りのことが多いのです。
特に「減った」という時は、脱水気味なのかも、と注意していただきたいですね。一方で、心臓が悪い方、腎臓が悪い方は、体重が2kgくらい一気に増えた場合は、むくんでいる可能性があります。
やはり、短期間で4%近くの増減があった場合は、「何かあるんじゃないか」と気を使っていただければと思います。
血糖の高い方の「水分摂取の方法」
肉体的重労働ではない通常の生活をされていらっしゃる方は、脱水予防のために、「毎食、梅干しを食べます。」なぁんてことをなされると、塩分過多になってしまいます。
日本人は基本的に塩分摂取量が多いので、あまりプラスして摂らなくても良いのではないかと、個人的には思っています。
ただ気をつけていただきたいのが、血圧を下げるお薬の中には、利尿剤が入っているものがあります。そういったお薬を服用されている場合に、ちょっと塩分が足りなくなる方がなかには、いらっしゃいます。しかし、大多数の人は、普通のお食事をなさっていれば、問題ないのではないでしょうか。
それから、もし、下痢をしてしまった場合ですが、甘くなくて塩の味がする「OS1(オーエスワン)」などの、体液に近い経口補水液をオススメします。アクエリアス、ポカリスエットなどは、飲みやすく作っているので、体組成と比べて、糖分が多く、甘いのです。
健康な人なら、食事が摂れないとき、糖分をエネルギー源として使うので良いのですが、血糖の上がりやすい方の場合は、糖分が多いため、それを飲んで血糖がドンドン上がり、おしっこが増えて、ますます脱水が進んでしまうことがありますから、あまりオススメいたしません。
全く食事が摂れなくて、1500ccを飲料で補給するとしましょう。私でしたら、この場合、ポカリスエットなどは、「3分の1以上は飲まないで」というかもしれません。1日でペットボトル1本(500ml)くらいまでは、良いのではないかなぁと思います。
後は、水、そして、こぶ茶などの塩気のあるものを。糖尿のない方ならカリウムを補うために、リンゴジュースなどもよいかもしれません。
シックデイ(病気のとき)のお薬の服用について
糖尿病の方が、病気の時に、どのようにお薬を飲むかをいうのは、お一人ひとり違ってきます。
おしっこに糖を出すようなお薬を飲んでいる方は、ごはんが食べられず脱水や下痢をしているときなどは、そのお薬をやめないといけません。身体の中からインスリンを出すようなお薬を飲んでいる方は、ごはんが食べられないときは、お薬をお休みしないといけません。
このように、一人ひとりにあったお薬の調整が必要となります。
ごはんが食べられない状況になった時は、服用中のお薬を鑑みて、「どの薬をやめてください」だとか 「継続して飲んでください」だとか、お話いたしますので、是非、お電話でも結構ですので、教えていただけるといいかなぁと思います。